タイヤは、ゴム、繊維、スチールベルトなど異なる素材を組み合わせた複雑な構造です。その為、製造時に金型に流し込んだ際のゴムの偏り、スチールベルトの重なり部分ができる、タイヤの外径・厚みが微妙にズレるなどにより重量のバラつきが生じます。
このバラつきの中で、一番軽い部分を軽点(けいてん)と呼びます。タイヤ側面に黄色の丸いマークが付けられていることが多いのです。
タイヤは製造上、わずかな重さの偏りがどうしても生じます。一方、ホイール側もバルブがあるため、そこが若干重くなります。そこで軽点をホイールのバルブ位置に合わせて組み込むことで、タイヤとホイールの重さのバランスが取りやすくなります。
一方タイヤの赤色のマークには、軽点とはまったく別の意味があります。こちらもタイヤのバランスや性能に深く関わる重要なマークです。正式名称はユニフォミティマーク。タイヤの構造的な硬い部分を示しています。
タイヤは外周の一部に変形し難い(剛性が高い)部分が出来ます。赤点はタイヤの一番剛性が高い部分です。タイヤが回転したときに、この部分で突き上げ感や振動が出やすいと言われます。
ホイール側の最も変形しやすい点と、タイヤの最も硬い赤点であるユニフォミティマークを合わせることで全体の真円性が良くなるのです。つまりタイヤの回転による上下振動が最小になって、乗り心地や静粛性が向上すると言うことです。
ユニフォミティマークと軽点が両方あるときはどうする? 基本ルールはこうです。
通常、軽点はバランス重視のマークで、基本的なタイヤ交換や整備ではまずこちらを優先します。ユニフォミティマークは、乗り心地の向上や走行安定性に寄与する為、特に高性能車や高級車では重要な要素となります。
ユニフォミティマークと軽点をうまく使い分けることで、最適な走行性能を引き出すことが出来ます。