タイヤが黒いのは、主にカーボンブラック(炭素の微粒子)という素材が含まれているからです。性能・耐久性・安全性すべてをバランスよく満たすために、いまやカーボンブラックは必須です。
19世紀後半に登場した初期のゴムタイヤは、実は黒じゃなくて乳白色でした。それは、素材である天然ゴムの色そのままだったからです。
1910年代にカーボンブラックが添加剤として使われるようになり、タイヤは一気に黒くなりました。アメリカのB.F.グッドリッチ社がカーボンブラックを導入し、タイヤの寿命が約3~5倍に伸びたという記録もあるほど。これが転機となり、現在ほぼすべてのタイヤに使われるようになりました。
1.強度と耐久性を高める
タイヤは路面と直接接する部品なので、摩耗・変形・衝撃など常にさらされています。カーボンブラックを加えることで、ゴムの引っ張り強さが数倍になります。また摩擦による摩耗が抑えられ、衝撃へのクッション性(反発力)が上がります。結果として長持ちして、壊れにくく、安全なタイヤになる訳です。
2.紫外線(UV)とオゾンからゴムを守る
天然ゴムは紫外線に弱くて、太陽の光を浴び続けるとひび割れたり硬化したりして劣化を促進します。しかしながら、カーボンブラックはUVを吸収しゴム内部に届くのを防ぎます。紫外線で出来るラジカル(活性酸素)の発生を抑え、オゾンによる劣化も軽減します。太陽の下でもゴムの柔らかさとしなやかさを保てると言うことです。
3.熱伝導性が高い
走行中のタイヤは、摩擦によって大量の熱を発生させます。カーボンブラックは熱を分散する働きがあるので、一点に集中せずタイヤ全体に広がります。部分的な変形・焦げ付き・バーストなどを防ぐ効果があります。高温状態でも性能が安定して安全走行が可能です。
因みにカラフルなタイヤは作れないのだろうか? 実は作ろうと思えば可能です。代わりにシリカなどの充填材を使えば色は出せる‥ けれどコストも性能もバランスが難しい。耐久性やUV耐性も極端に落ちてしまいます。