雨に強いタイヤ、ウェット性能の理解を高める

 雨に強いタイヤと言えば、濡れた路面で高い制動性能を有する製品と受け止めます。低燃費タイヤの規定に照らせば「ウェットグリップ性能」がその指標になるかと。

 ウェットグリップ性能のグレーディングは、性能別として4等級(「a」「b」「c」「d」)にレベル分けしており、「a」>「b」>「c」>「d」の順で高いことを示します。従い「a」が「最も雨に強いタイヤ」ということに。

 参考までに「c」から「a」のタイヤに替えた場合、制動距離が車両の約2台分以上向上されるという。等級が1つ上がると約0.7台分の短縮になる計算です。

 性能の優秀さは具体的根拠として示されるのが望ましい。そこで少しでも公平な観点からタイヤを判断すべき、としたものが低燃費タイヤのラベリング制度です。

 ただ現実はタイヤの方向性(カテゴリー)によって、実現レベルが微妙に異なります。性能追求レベルを変えることで、個性を引き出すことになりますから。

雨の日は約4倍も事故が起こりやすい

 JAFにより首都高速道路(株)の調査を伝えています。雨天時は晴天時の約4倍も事故が起こりやすいそうな。濡れた路面は予想以上に滑りやすい。雨の降り始めは路面にホコリや泥などが浮き上がり、それが滑りを誘発する。

 またスピードを出している状況では、ハイドロプレーニングの可能性を指摘しています。タイヤと路面との間に水膜ができタイヤが水の上を滑走する現象です。この状態だとハンドルやブレーキが利かなくなるため、クルマをコントロールできなくなります。

 タイヤの溝の多さはウェット性能向上へ繋がります。主力になるのは主に縦方向に太く深く刻まれた溝です。ここで水を抱え込み回転により弾き出します。横溝は遠心力を利用し横方向に排水します。効率的な一連の作用によってハイドロプレーニングの抑制を図ります。

タイヤの安全性は確実に向上

 ウェット性能向上は溝の適正化が大きい。そして密着の有効性も実践します。排水後により密着しウェットグリップの確保を実現します。効率的に排水し、しかも密着するのが最新の技術です。

 タイヤ性能は構造に由来するところであり、また素材や空気圧によっても受ける印象は異なります。高性能化は基本機能を活かしつつ、その評価となる性能の高度化を図るというのが理屈上の在り方になるかと。

 必ずしも単純に1+1=2にならないのがタイヤの性能ですが、ウェット性能もそのひとつ。しかしながら、公平な観点からタイヤを判断する指標が生まれたことはユーザーにとってはプラス材料です。今や80%にもなる低燃費タイヤの普及で、タイヤの安全性は確実に向上していると思います。

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