タイヤの溝は飾りじゃない、その役割とは?

 タイヤの溝は、その性能(排水性の確保、グリップ力の向上、冷却効果、静粛性)を決める重要なものです。溝は飾りじゃない、カッコいい見た目とかデザインじゃなくて、安全性を高めるため、そして快適性を得るために大切な役割を果たします。

排水性の確保(雨の日対策)

 雨の日の濡れた路面では、路面とタイヤの間に水が入ります。溝があることで水を効率的に外に逃がし、タイヤがしっかり路面に接地できます。これがないとアクアプレーニング現象が発生して滑ります。溝が摩耗すると排水性が落ち、性能低下が進みます。

 タイヤにおける排水の仕組みは、路面とタイヤの間に水が入り込もうとします。タイヤ表面の溝が水を受け止めます。この時に、タイヤの溝が少ないと水の逃げ道が無くなってしまいます。溝の角度やパターンに沿って、水がタイヤの外へ流れていく。V字パターンは斜めに水を逃がしやすく、直進安定性も確保します。水が抜けた部分で、ゴムがしっかり地面をグリップします。

グリップ力の向上

 溝の形や角度で、コーナーやブレーキング時の踏ん張り具合が決まります。特にスポーツタイヤは、パターン剛性と溝の配置でグリップを調整しています。タイヤのグリップ力(地面をつかむ力)はゴム(コンパウンド)+溝のバランスで決まります。

冷却効果(熱の放出)

 長時間の高速走行や激しいブレーキングで、タイヤはかなり熱を持ちます。従い自ら熱を吸収 → 拡散 → 放出する能力が求められます。溝があることで、走行風がタイヤ表面を通りやすくなり、熱を逃がす効果があります。

静粛性(ノイズの抑制)

 溝のパターンでタイヤ音が変わります。プレミアムタイヤほど、音の発生を抑える溝デザインになっており、静かな走行が実現出来ます。

 クルマの走行中にゴーッと聞こえる音、主にタイヤと路面の接触で発生するものです。これがロードノイズ。アスファルトの凹凸やザラつきがタイヤに伝わり、タイヤの溝に空気が入って圧縮され拾った振動がクルマのフロアやボディに伝わりゴー音などを発します。サスペンション、遮音材、空気圧などでも変化します。

 一方パターンノイズは、タイヤの溝(パターン)形状に起因して発生する音です。溝の形状・配置・繰り返しのパターンによりガー音(リズミカル)などを発します。タイヤ設計にほぼ依存(溝が原因)します。

 ロードノイズはザラザラした床をずっと歩いているような音。対してパターンノイズは同じ靴音がカッ、カッ、カッとリズムよく響いてくる感じです。プレミアムタイヤはより緻密に設計されてます。

 パターンノイズはロードノイズの一種とも言えるかと。溝による音だけをパターンノイズと呼びます。

タイトルとURLをコピーしました