カーボンニュートラルに向けたタイヤ変革の動き(脱炭素タイヤ)に際し、ミシュランが電動車を対象にプレミアムコンフォート「e・PRIMACY」を投入した。ただこれスポーツカテゴリーにとってまた逆風では? と懸念。
ところが続けざまにミシュランは、「PILOT」シリーズにスポーツEV・スポーツハイブリッド車向けとして「PILOT SPORT EV」を追加する速攻。
欧州はカーボンニュートラルで先行、2050年までにその達成を目指しているという。しかし、炭素(カーボン)の排出を完全ゼロに抑えることは現実的に難しい。その為に排出した分の同じ量を吸収または除去することで、差し引きゼロを目指す。
炭素とは温室効果ガス、つまりCO2、メタン、N2O(一酸化二窒素)、フロンガスなど。ニュートラルは中立を意味。この実現を目指すのがカーボンニュートラル。
クルマ業界で加速する電動化の流れが電動車という発想。EVは勿論、ハイブリッドやプラグインハイブリッド(PHEV)、燃料電池車(FCEV)など。そこから将来的にはEVまたは燃料電池車(FCEV)のみにするという。詳しくは以前書いた記事を参考に。
そして、タイヤに関してカーボンニュートラル実現は、低燃費タイヤの出現期以上にスポーツカテゴリーにとって逆風では、と懸念を示しました。ところが‥ 冒頭のミシュランの動きは大いにビックリ。
因みに「PILOT SPORT EV」は、2014年9月から開催されている、FIA フォーミュラEのレースで培った技術を応用した新設計のタイヤです。対象をスポーツEV・スポーツハイブリッド車向けとし、電動車特有の性能に適合させつつもスポーツカーユーザーが求める要求に応える、という特性。
ザックリ言えば、モーター走行なので車内騒音に配慮し静粛性に優れる。また重要が増すことで起こる偏摩耗や早期摩耗を抑制する。これを実現しスポーツカーユーザーが求める安全性能とドライビング性能を失わないスポーツタイヤ。
「PILOT SPORT EV」のコンパウンドは新開発、しかしトレッドデザインはフォーミュラEのレース技術を応用設計した現行「PILOT SPORT 4」に良く似ている。低燃費タイヤの規定を満たしていないものの、トレッドデザインの流用は目指す方向性に合致しているのでは。
ということで、カーボンニュートラル対応タイヤ(脱炭素タイヤ)の基本ベースは低燃費タイヤ、そこから更なる特性を加味または削ぎ落し最適化することになるかと。
今後この動き、各メーカーで活発化してくるのは間違いないでしょう。低燃費タイヤの導入期には様々な変革を齎しました。それ同様いや以上に大きな変革になるのでは、と予測しておきます。