ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー(以下米グッドイヤー)は、2021年2月に発表したクーパー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー(以下クーパー)の買収を6月に完了したという。
今回の買収で、2つの大手タイヤメーカーが一つになり、米国を拠点とする世界のタイヤ業界におけるより強力なリーダーが誕生。統合後は、顧客や消費者の皆様がグッドイヤーブランドおよびクーパーブランドのタイヤをより選びやすくなるよう、幅広い選択肢を提供していく、としています。
グッドイヤーについては触れるまでもなく世界第3位のシェアを持つ、そうビッグ3の一角です。国内では日本グッドイヤーを設立、2015年アライアンス契約および合弁事業を住友ゴムと解消、グッドイヤー100%出資の日本法人として復活しました。
一方クーパーは、1914年米オハイオ州アクロンでジョン F.シェーファーとクロード E.ハートがM&M Manufacturing Companyを買収したのが系統の始まりとされています。クーパーの名前は、I.J.クーパーがThe Cooper Corporationを1919年に設立したもが由来。1946年にCooper Tire&Rubber Companyに変更されました。
1960年ニューヨーク証券取引所に上場。1991年の純売上高は10億ドルを達成。1997年にイギリスのAvon Tyres Limitedを買収、2003年にアメリカのMickey Thompson Performance Tires&Wheelsを買収。世界シェアランキング13位、北米5位。従業員数1万人以上。
今回の買収で、グッドイヤーの米国における地位は強化され、その他の北米市場における地位も大幅に向上するという。グッドイヤーのネットワークを通じてクーパーの流通が拡大するなど、グッドイヤーの世界的な流通ネットワークにクーパーブランドが加わり、さらなる収益拡大の機会が期待されます。
クーパーに対しては土着のイメージが強い。古き良きアメリカを代表する企業とも言えるか。今回施策の転換でグローバル化も図る一方、北米で更なる強化を維持する。グッドイヤーにとってはビッグ3の一角ながら、上位2社(ブリヂストンとミシュラン)と縮まらないシェア争いに苛立ちも。現状打開の意味合いあると思います。
個人的には今回の買収で注目したのが1997年クーパーに買収されたイギリスのAvon Tyres(エイボンタイヤ)の存在です。Avon Rubber p.l.c.のタイヤ部門が切り売りされたもの。
1985年には国際F2から移行したF3000にワンメイクとしてタイヤを供給、翌年には中島悟がF1ロータスのシートを獲得すべく全日本F2と並行してフル参戦したカテゴリーだったかと。この時初めてエイボンの存在を知りました。まだバイアスだったような‥ 1981-1982年の一時であるけれどF1への供給も果たしています。
また2010年限りでブリヂストンがF1から撤退する際には、来季用としてエイボンの名が挙がったこともありました。飽くまでも推測の域を出ませんでしたけれど。
というようにレースシーンで存在を知り現在もその流れを受け継いでいるエイボン、それを買収したクーパー、その大本になったグッドイヤーという構図が理解しやすい。